おはようの声がかかる前に起きたのはいつぶりだろう。
「ジュノ……」
そういえば、私が眠るとき、私が起きるとき、いつもそこにはジュノが居たんだな。
そして基本的には一度眠るとジュノが起こしてくれるまで深い眠りについてしまう。
うっすらと思い瞼を開くとクリーム色の天井が目に入る。
ああ、ここは先日まで住んでいた場所じゃなかった。
そうだった。そういえば仕事で。
そこまで思い出したところで。
「ジュノ!?」
ジュノがいない、そう思った。
だけどそれはすぐに安堵の溜息に変わる。
「よかった」
ベッドのすぐそば、椅子の座ったままジュノはそこで眠っていた。
膝の上には開きかけの求人誌。
そうだ、昨日。
食事を終えてから、夜のガーデンテラスに寄って。
そこで眠ってしまったんだ。
きっとジュノは困った顔で私を運んで………。
「ジュノ、私、ジュノを疲れさせている?」
そおっと、そおっと。
眠るジュノの頬を撫でると、ジュノが表情が僅かに変わった。
それはまるで。
そんなことないよ、と言っているようで。
胸の奥で、きゅうっと小さい音がした。
ローテーブルに置かれていたブランケットをジュノの肩にかけて。
足音を立てないようにそっと窓際に立って、カーテンを少しだけ開ける。
どんよりとした空。今にも雨が降り出しそうな空をちらりと眺めて、
飲みかけのペットボトルに手を伸ばして。
昨日の夢を思い出しながら、少しずつ少しずつ、
感覚を研ぎ澄まして。
彼女の声を探した。